お金は「貯めるもの」ではない?白鳥監督に聞いた、これから始まるギフト経済の話

query_builder 2026/03/13
コバシャールくんの宇宙人通信
お金は「貯めるもの」ではない?白鳥監督に聞いた、これから始まるギフト経済の話

今回は、白鳥監督にお話を伺いました。


「老後のために貯めなさい」「将来が不安だから、今のうちに備えなさい」——私たちはずっと、そう教えられてきました。


けれどもし、その“貯め込む発想”そのものが、社会の循環を止めている原因だとしたらどうでしょうか。


今回の対談で白鳥監督が教えてくれたのは、これから必要なのは「奪い合う経済」ではなく、与え合い、巡らせる経済だということでした。キーワードは「ギフト経済」、そして「腐るお金」。


最初は少し極端に聞こえるかもしれませんが、話を聞いていくほど、今の仕組みのほうがむしろ不自然なのかもしれないと感じさせられます。

今の貨幣経済は、自然のリズムに逆らっている

白鳥監督はまず、今の貨幣経済の前提そのものに大きな違和感があると話してくれました。 いまの経済は、借りたお金に利子をつけて返し続けることを前提に成り立っています。


すると、お金を多く持っている人のところにさらにお金が集まりやすくなり、持たざる側はずっと追いかけ続ける構造になります。


監督は、これは自然界の循環とは真逆の仕組みだといいます。 私たちはいつの間にか「お金を多く持つことが価値」だと考えるようになりましたが、本来はそうではなかった。日本にはもともと、お金を持つことより、巡らせることを大切にする感覚があったと教えてくれました。

「お金は天下の回り物」は、ただのことわざではなかった

昔の日本では、お金そのものに価値がないわけではないけれど、それを得ることだけが目的ではなかったそうです。


もっと大切な価値観が先にあって、その上でお金を使わせてもらう。だから「お金は天下の回り物」という言葉が自然に生きていたのだといいます。


とくに日本の商人たちは、商売を通して徳を積むことを大事にしていました。「商いを通じて徳を積む」という考え方は、ただ利益を出すためではなく、世のため人のためになることが、結果として自分のためにもなるという発想です。


白鳥監督は、お金は本来「感謝の形」だと教えてくれました。感謝を込めて使い、巡らせていくもの。そう考えると、お金との付き合い方そのものが変わってきます。


ギフト経済との出会いが、監督の見方を変えた

白鳥監督がギフト経済を深く取材するようになったきっかけは、14年前に参加したある場だったそうです。


それは、食事がギフトとして提供される「カルマキッチン」という場。


初めてそこに入ったとき、監督は胸の奥が開くような、あたたかい感覚になったと話してくれました。なぜなら、そこにあるものすべてが「与えられている」ものだったからです。


しかも、見ず知らずの人たちが自然と打ち解け、家族のような空気になっていく。食事が与えられているからこそ、その場の波動もやわらかくなり、人は自然と分かち合いたくなる。誰かの活動を知れば応援したくなるし、自分も何かを差し出したくなる。


そうした体験を通して、監督は「与えることから始まる経済」に可能性を感じたのだそうです。

「そんなことで生活できるの?」という思い込み

ギフト経済の話を聞くと、多くの人が最初に思うのは、「でも、それで生活は成り立つの?」という疑問だと思います。


監督は、そこに大きな思い込みがあると教えてくれました。


私たちは深いところで、「お金がないと生きていけない」と刷り込まれています。その思い込みが強すぎると、ギフト経済の入り口すら見えなくなってしまう。


だからまず必要なのは、その前提を少しずつ手放していくことなのだといいます。 その手放しの鍵として監督が挙げたのが、「腐るお金」という考え方でした。

「腐るお金」は、経済を一番よく回す

腐るお金、と聞くと驚きます。でも監督は、期限があるお金こそ経済を最も回すと教えてくれました。


その例として紹介してくれたのが、オーストリアのヴェルグルという町で起きた「ヴェルグルの奇跡」です。


大恐慌で失業者があふれていた町が、期限付きの発行証明書を使うことで短期間のうちに活性化していった。価値が減る前に使おうとするから、お金が止まらず回り続ける。


すると流通が生まれ、雇用が生まれ、町そのものが蘇っていったのだそうです。 つまり、貯め込むのではなく、手放すから回る。それが「腐るお金」の核心でした。

期限がある通貨は、人の意識まで変えていく

監督が特に感動していたのが、日本で始まっている地域通貨「eumo(ユーモ)」の存在です。この通貨も期限があることで、自然と循環を生み出す仕組みになっているそうです。


面白いのは、期限が近づいたとき、人が「とにかく使おう」だけでなく、いちばんお世話になった人に贈ろうと考え始めることです。


ここでお金は単なる支払い手段ではなく、感謝を届けるものへと変わっていきます。 そうしてギフトし合う人たちの間では、「自分が与えているのか、与えられているのかわからない」ような感覚が生まれてくるのだとか。


損得よりも循環全体に意識が向き、困っている人がいれば自然に手を差し伸べるようになる。監督は、そうした場ではお店の雰囲気まで変わり、場そのものがあたたかくなると話してくれました。

与える人のほうが、実は深く満たされる

与える方が幸せなのは、私自身にも経験があります。それは、長く続けてきたスキーのこと。


自分のためだけにやっていると思っていたけれど、流行り病を機に、教える相手がいなくなった途端にやる気が消えてしまったのです。


そのとき初めて、自分は誰かのためにやっていたからこそ力が出ていたのだと気づきました。


白鳥監督は、この感覚こそがギフトの感覚だと教えてくれました。自分のためだと迷うことでも、誰かのためなら自然に差し出せる。そのとき、魂は喜び、お金もまた感謝の形として意味を持ちはじめるのだそうです。

日本人は、ギフト経済に向いている

監督は、日本人はDNAレベルでギフト経済に向いていると話していました。


おすそ分けや恩送りの文化があり、震災のような非常時にも助け合いの力を発揮してきた。その背景には、利他で生きる力が日本人の中に眠っているからだといいます。


だからこそ、日本でこうしたギフト経済の土台となる仕組みが生まれていることには大きな意味がある。今の資本主義の歪みに対して、まったく別の方向から社会を立て直すヒントが、すでに日本から出始めているのではないか。監督のお話からは、そんな手応えが伝わってきました。

これから必要なのは「貯めること」より「巡らせること」

最後に監督が強調していたのは、お金のいらない世界へいきなり飛ぶのは難しくても、その前段階として「腐るお金」や「ギフトする感覚」を知ることが大事だということでした。


玉ねぎを作りすぎた人が、腐る前に近所へ分ける。人参を作りすぎた人もまた分ける。そんなおすそ分け文化が、お金の世界でも起きるようになったらどうなるのか。


監督は、そこにこれからの社会のヒントがあると教えてくれました。 自分のところに余分にあるものを、必要な人へ巡らせる。 まず与える。まず手放す。 そうして循環が生まれると、社会はもっと柔らかく、もっと強くなっていくのかもしれません。


お金を持つことが豊かさなのではなく、巡らせることが豊かさなのかもしれない。 今回のお話は、そんな根本的な問いを投げかけてくれる時間でした。

【富の再分配革命】14倍循環する 新経済モデルの正体 白鳥監督


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