伊良部島の海に見る、亀と海草の知られざる物語
美しい海というイメージのまま多くの人が訪れる宮古島・伊良部島。しかし、その海の今と昔の写真を見比べると、誰もが言葉を失うほどの変化が起きているといいます。今回お話を伺ったのは、伊良部島で漁師をしながら環境カウンセラーとして活動している蟹蔵さんです。
亀を食べることが自然を守る理由
絶滅危惧種というイメージのある海亀ですが、近年急激に数を増やしているそうです。
保護活動やサメの減少が理由とされる一方、亀の赤ちゃんを食べていた魚そのものが減ったことが原因だと指摘する専門家もいるといいます。
魚が減って亀が増え、亀が海草を食べ尽くし、産卵場所や餌場としていた魚たちの居場所までなくなるという悪循環が起きているそうです。
海草は窒素やリンを吸収し酸素を生み出す存在だといいます。だからこそ規制や時期を守りながら亀を食文化として取り入れることが、結果的に自然を守ることにつながっていると蟹蔵さんは話します。
命をいただくという約束
亀を〆る瞬間は、何度経験しても胸が痛むと蟹蔵さんは言います。だからこそ亀を神様の森の根元に置き、命をいただくことと、その代わりに自然を守ることを神様に約束するそうです。
スーパーで切り身になった肉を買う生活の中で薄れてしまいがちな、命への感謝を思い出させてくれる行為だと教えてくれました。
写真が語る伊良部島の変化
蟹蔵さんは、自身が子どもの頃やそれ以前に撮られた伊良部島の写真を見せながら、海の変化を説明してくれました。
かつて沢田の浜は珊瑚や海草に覆われ、魚も豊富だったそうですが、漁港の整備で砂の流れが止まり、今ではビーチと珊瑚が分断されてしまったといいます。
入り江も開発のたびに小さくなり、道路や空港、リゾート開発でかつての豊かな干潟はほとんど姿を消したそうです。森の面積も他の同規模の島と比べて著しく少なく、これが海の環境悪化に直結していると蟹蔵さんは語ります。
自然を取り戻すための挑戦
蟹蔵さんは陸上に30年前の伊良部島の海を再現した海草の養殖場をつくり、肥料を与えずに育てているといいます。
また、伊良部島には本来マングローブが自生していなかったとされ、八重山から持ち込まれたことで外来種が一緒に入ってきた可能性があると指摘します。
こうした気づきから、開発の際には水の流れを戻すトンネルを設けるなど、環境に配慮した方法を県議会でも提案してきたといいます。
まとめ
蟹蔵さんは、亀を食べることも海草を育てることも、すべて自然との約束を守る行動だと教えてくれました。
今も美しく見える伊良部島の海ですが、かつての姿と比べると大きく変化しています。このペースが続けば、子どもたちの世代にはさらに姿を変えてしまうかもしれません。
過去と今を見比べ、未来の海をどう残すかを一緒に考えるきっかけを、蟹蔵さんの取り組みは与えてくれます。
【滅亡か再生】神様は、なぜこの男に託したのか 漁師 蟹蔵
EM life 宙・有限会社ソウ意匠
住所:岐阜県揖斐川町谷汲名礼1381−2
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