剣に餡子をつけた男、そして優しき剣豪たち――甲野善紀先生が語る日本武術と職人魂

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コバシャールくんの宇宙人通信
剣に餡子をつけた男、そして優しき剣豪たち――甲野善紀先生が語る日本武術と職人魂

団子屋の主人が、居合の達人が抜いて納める一瞬の間に、刀の先に餡子をつけてみせた。そんな信じがたい逸話をご存じでしょうか。今回お話を伺ったのは武術研究家の甲野善紀先生です。日本の武術と職人の世界に伝わる、驚くべき逸話の数々を語っていただきました。


抜刀に餡子をつけた男

三尺佐五兵衛と呼ばれた居合の名手を慕っていた、ある団子屋の主人。団子を作る速さが神業だったこの男が、佐五兵衛に勝負を挑みました。


佐五兵衛が刀を抜いて納めるその一瞬に、自分が持つ餡子べらで刀に餡子をつけられたら自分の勝ち、というものです。結果は、見事に刀に餡子がついていたそうです。


「普通じゃない状態」を生み出す力

甲野先生は、こうした達人の技には、相手を普通ではない状態に導く力が働いていると語ります。


カリスマ性のある営業マンや、伝説的な新幹線車内販売員のように、そばにいるだけで人を惹きつける存在感。野口整体の創始者・野口晴哉氏のエピソードも交えながら、人間には潜在的にそうした力に引き寄せられる性質があると話されました。

世界を驚かせた日本職人の技

話は日本の職人技へと移ります。大森貝塚を発見したモースが来日した際、自国の大工の腕の悪さに腹を立てたというほど、当時の日本の大工の技術は卓越していました。


フィートとインチで示された図面から、想定以上の建物を建ててしまう腕。そうした職人たちが憧れたのが良い道具、特に鑿だったといいます。


普通の鑿が10本組で3円50銭の時代に、超一流の職人が作る鑿は100円。しかしその職人はあまりに凝りすぎて寡作で、貧乏だったそうです。


ある大工が柄まで作ってほしいと頼んだ際、いったんは断られましたが、実物の鑿を見せると態度が一変し、この鑿には自分の柄が似合うと言って引き受けました。金では動かない、当時の職人のプライドを物語る逸話です。

一瞬で仕上げる玄能と鍛冶屋の怪力

竹中大工道具館に残る映像では、玄能で楔を打ち抜く職人の技が5厘もずれない精度で紹介されているそうです。


また鍛冶屋が30kgもの鉄の塊を火箸で挟み、素手同然の力で持ち上げて水につける様子も語られました。畳職人による手作業の緻密さも含め、機械のない時代だからこそ培われた技術の高さが語られました。

剣豪たちの逸話

小山宇八郎という剣豪は、殿様に池へ突き落とされた際、避けようと思えば避けられたことを示すため、あえて自ら小刀を地面に刺して落ちたといいます。


松林左馬助という剣豪は、家臣に川へ突き飛ばされても軽々と川を飛び越え、実は突き飛ばされた瞬間に相手の刀を抜き取っていたという余裕を見せました。


優しき剣豪、松林蝙也斎(松林左馬助)

将軍徳川家光の前で剣術を披露した際には、三度もアンコールを受け、名誉とされる赤い紋付を三枚も賜ったという記録も残っているそうです。


家族への手紙には、孫や飼っていた亀への気遣いが綴られており、多くの人々から慕われていたことがうかがえます。


そして最期は、病床にありながらも一日千回の抜刀を続け、これで終わると言って息を引き取ったそうです。


まとめ

団子屋の逸話に始まり、職人のプライド、剣豪たちの機転と優しさ、そして見事な最期まで、甲野先生の語りには日本の武術と職人文化に脈々と流れる精神性が凝縮されていました。


技の凄まじさだけでなく、人としての在り方が問われる世界であることが、今回のお話から伝わってきます。


【ペリーがどん引き】武術家に宿っていた異次元能力 武術研究家 甲野善紀


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